読書語録 第一回

図書館戦争」    有川浩

 

・あらすじ 

1988年、公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制するための「メディア良化法」が制定される。法の施行に伴い、メディアへの監視権を持つメディア良化委員会が発足し、不適切とされたあらゆる創作物は、その執行機関である良化特務機関(メディア良化隊)による検閲を受けていた。この執行が妨害される際には、武力制圧も行われるという行き過ぎた内容であった。
メディア良化委員の検閲の強行に対し、公共図書館は、「図書館の自由に関する宣言」を元に「図書館の自由法」を制定。その役割と本の自由を守るために、図書館は自主防衛の道へと突き進んだ。これ以降、図書隊と良化特務機関との永きに渡る抗争に突入していくことになる。
時代は昭和から正化へと移り、図書隊は激化する検閲やその賛同団体の襲撃によって防衛力を増す。それに伴い、権勢を強めるメディア良化委員会との対立は、激化の一途をたどっていた。
正化26年(2014年)10月4日。高校3年生の郁は、ある一人の図書隊員に検閲の窮地から救われる。大好きな本を守ってくれた図書隊員との出会いをきっかけに、郁は彼を“王子様”と慕い、自分も彼のように「理不尽な検閲から本を守りたい」という強い思いを胸に、図書隊の道を歩み始めた。
そして、メディア良化法成立から30年を経た正化31年(2019年)。郁は念願の図書隊へと入隊を果たしたが、指導教官である堂上篤は、郁が目指した憧れの図書隊員とは正反対の鬼教官だった。男性隊員にも引けを取らない高い身体能力が取り柄の郁は、顔も名前もわからない王子様を慕って人一倍過酷な訓練をこなしていく。一方、堂上は、5年前に自らの独断が起こした「ある事件」を重く受け止めていた。
やがて、郁は懸命な努力と姿勢が認められ、全国初の女性隊員として図書特殊部隊に配属される。そして、堂上のもとで幾多の困難な事件・戦いに対峙しながら、仲間とともに助け合い、成長していくこととなる。

 

・好きな言葉

P39.堂上.「万引きの汚名を着てまでこの本を守ろうとしたのは君だ」
P59.郁.「あたし、高校の時にあった図書正みたいになりたくてここに来たんです。い                        つか会えたらあなたを追いかけてここに来ましたって言うんです。だからこんなとこで   辞めません」
P126.堂上.「正論は正しい。だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使ってい                       るのはどっちだ?」
P160.柴崎.「乙女が!乙女がここにいます軍曹―!」
P183.堂上.「ていうか、まっすぐだからな」
P195.稲嶺.「原則を曲げることは簡単です」
P205.手塚.「選ぶべきものを選ぶときに選び方を躊躇する奴は口先だけだ」
P296.稲嶺.「図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る」
P334.折口.「正義の味方は建前が多くて大変ね」
P362.郁.「辞めません。あたしはあんたを超えるんです」